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再びのランファミ運動

1789年フランス革命直前、奥の院が採用したランファミ運動を思い出す。
 マリー・アントワネットにぞっこんだった枢機卿プリンス・ド・ロアンを、偽手紙でパレ・ロワイヤルに誘い出し、マリー・アントワネットになりすました売春婦の一人と関係させた一件である。(令和元年11月30日奥の院通信)

 主人公である彼は、イギリス国王の勅書送達吏をしていた。日本での天皇の勅使と同じである。地位は高く、あらゆることに精通している。1917年のある日、アスキス伯爵を辞任させるために利用された奥の院の陰謀に精通した人物の説明を受けた。
 彼は「大金持ちの小集団が、その金で買える権力を利用して、国家的、国際的出来事に影響力を及ぼして自らの秘密計画、野望を実現しようとしている」という嫌疑を抱いていると伝えた。奥の院の存在を意識している。
 その人物は「そのようなことを口にすると、あなたは長生きをしてその正しさを確信できなくなりますよ」と応じて、1916年12月にアスキス首相が辞職に追い込まれ、ロイド・ジョージ、チャーチル、バルフォアが英国の権力の座に就いた経緯を語った。
 この人物、奥の院の手先は、「奥の院のことを語ると危ないですよ」と勅使に忠告している。

 1914年8月、第一次世界大戦勃発直後、奥の院代理人がある古い大邸宅を大改築し豪勢な館とし、そこを会員制クラブとした。その名を「グラスクラブ」とし、「クラブは国王と祖国のために命を賭けている軍の将校たちへの、深い感謝の意を表したいだけであり、自分たちの正体が明かされることがあってはならない」と主張した。

 このクラブには快楽のためのあらゆる娯楽施設が整っていた。利用できるのは休暇で前線勤務からロンドンに戻った将校に限定されており、入会には幹部の紹介が必要だった。

 ある将校、到着と同時に幹部の面接を受け、合格して利用の仕方が説明される。会員は名誉に懸けてその身元をクラブ外で明かしたりしないことを誓わなければならない。この誓いを立てて、新会員はロンドンの社交界の上層部でよく知られた女性たちに出会うことになると知らされる。女性たちは全員仮面をつけている。新会員には、彼女たちの素性を尋ねないこと、また、何らかの偶然でその素性を知ったとしても、決してそれを口外しないことが求められる。

 手続きや準備が終わると、新会員は贅を尽くした私室に案内される。バス・トイレ付きの部屋には大きなダブルベッド、化粧台、ワードローブ、ワインや酒の並ぶキャビネットがあり、葉巻ケースが置かれている。
 新会員はくつろぐように言われ、間もなく女性ゲストが現れると告げられる。新会員の部屋番号の入ったブローチをつけた女性が登場する。彼にはその女性とのディナーという得点が与えられている。
 ディナーの前のカクテルを飲みながら、ゲストやそのホステスと歓談している応接間は宮殿のような趣を湛えている。食堂の間は50組のカップルが収容できるほど広々としていて、舞踏会場を思わせるほど華麗である。豪華なカーテン、ほの暗い照明、着飾った美しい女性、うっとりさせるような音楽、香水の香りなど、別天地さながらの演出である。

 休暇で戻った将校は最初はくつろぎ、その後はローマ風の休日となる。近代戦争の恐怖、残忍性とは対極をなしている。舞踏の合間には余興を楽しむ。夜が更けるにつれ長いカウンターには豪華な料理が並ぶ。
 バーにはシャンパンからウィスキーまで全ての銘柄がそろっている。そのうち、5人の女性が踊りを披露する。彼女らは、顔をヴェールで覆って衣装を着けて踊り始めるが、後は全裸となる。薄いヴェールを翻し、その肉体的魅力を隠すのではなく強調するかのように踊り続ける。食事や舞踏、観劇、社交を楽しんだ後、カップルはそれぞれの私室に消えていく。
 翌日は室内で水泳、テニス、バトミントン、ビリヤード、カードなどそれぞれ好きに過ごす。

 1916年11月、ある高官のもとに、英国政府にとって重要な情報が提供されるとのメモが届けられ、高官はクラブを訪ねるよう誘われた。私用車でクラブに向かった高官は、運転手に待つよう命じて中に入った。彼はベッドがしつらえられた豪華な部屋に通された。そこに女性が現れた。女性は高官を見ると気絶しそうになった。目の前にいたのは夫だった。彼女は夫より遙かに若く、かなり以前から、休暇で戻った孤独な将校相手のホステスとなっていた。
 やっかいな状況になった。彼は狙われていた。

 奥の院のするこの度のランファミ運動、長くなるので続きは明日にする。
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