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誕生した信用

 一般的には信用という言葉は分かりにくい。ここでの信用という言葉は、私たちが日頃使っている、たとえば「あの人は信用できる」と言う時の信用という言葉とは、全く別の意味内容だからである。だから、信用創造というものが分かりにくい。ここでの信用は一つの物とみれば分かりやすい。

 信用(物)は銀行が顧客に貸付をした時に生まれる。そしてその顧客が返済をした時に消滅する。銀行側から見たらこれは貸金であり、顧客の側から見たらこれは借金である。
 銀行は貸した瞬間に資産を手にし、その日から金利が入ってくる。しかも、貸す時に銀行は、ただ顧客の通帳に数字を書き込むだけで、何のコストも掛からない。ただで(コストなしに)その瞬間に資産を手にする。

 ここで発生した信用なるもの(銀行にとっては資産、顧客にとっては負債)は、とりあえず銀行にあるその顧客の通帳に記入されている。その顧客がそこから引き出して現金にすると、その信用は現金に名前を変える。また、その顧客が誰か別の人に送金(支払い)をすると、その顧客の信用は振込先の別な人の通帳に記入され、その信用なる物がその人に移転する。こうして顧客が借り入れをして誕生した信用は、転々と流通していく。
 
 借り入れをして誕生した信用は、引き出されて現金になったり、移転して他人の信用になったりする。誕生した信用は同じ者が引き出すと現金となり、移転すると別の人の信用となる。
 また、銀行にある信用(顧客の通帳に書かれた数字)は資金と言ったりもする。あるいは、その銀行の通帳に書かれた数字(信用・資金・預金)は、会計帳簿に計上されるときは、預金とか資産(流動資産)と書かれる。

 銀行借り入れ、銀行貸し付けで誕生した信用という魔物は、現金と言ったり資金と言ったり、預金と言ったり、資産と言ったりして、言葉がころころ変わるので分かりにくいのである。
 お金持ちと言う言葉は、これら全ての信用(物)を合計したものを表現している。あの人はお金持ちという場合、その人の財布に入っているお札のことではなく、その人の資産(信用)から負債(信用)を差し引いた純資産を漠然と表現している。

 また、信用は、銀行が顧客に貸付をしたり、顧客から返済を受けたりして、生まれたり消滅したりする間に、この世に存在している信用全体のことを表現することもある。人は生まれては死に、少しずつ入れ替わっていくのであるが、人口という場合は今、この世に生存している人の数である。これと同じで、信用は今この世に存在する信用の合計を表している。
 この全体の信用が少なくなることを信用収縮と言い、多くなることを信用拡大という。銀行が信用供与(貸付)を増やすと信用拡大となり、減らして回収に専念すると信用収縮となる。

 この信用は銀行の打ち出の小槌から生まれる。この打ちでの小槌を持っている人(通帳に数字を書く権限を持っている人の親分)がこの世で一番の金持ちである。その人の名は長者番付などに出ることはない。だから誰も「その人の名」は知らない。隠しているのである。これが奥の院。
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